腕力に魔法で対抗するエーポラ「それじゃあ、僕は部屋に戻るから」
もうちょっと、あと少しだけ一緒にいたいんだけど。素直に言えたらいいのに、何故か乾いた口からは言葉が一向に出てこない。デュースからくっつきたがる時もあるのだが、今日に限ってそうではないらしい。タイミングって無情だ。
「おやすみ、エース」
「待って」
くるりと背を向けたデュースの腕を掴む。無意識だった。振り向いたデュースと目が合って、勢いでしてしまったことの言い訳を探す前に、オレの視界は反転していた。
「その目、誘ってんのかよ」
「は?」
デュースに押し倒されたのだ。
「大人しく帰ろうと思ってたのに。そんな顔されたら我慢できない」
「いや、え?」
オレをベッドに放った上から覆い被さるように乗り上げてきたデュースは、涼しげな色の瞳の奥に情欲の炎を灯らせている。ふーっ、ふーっ。肩をがっちりと押さえつけられて動けないし、デュースの吐く息は獣のように荒い。纏う雰囲気がさっきと全然違う。
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