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    純愛書きたくて書いた
    めちゃくちゃ付き合ってる半ロナ
    どっかで「酒」のお題で一本書いてみよう的なの見たからやってみた

    思い出話年末の深夜。もうすぐ年が明けて正月になろうという時間帯。
    居酒屋にて二人は一枚の注文表を見つめていた。とりあえずビールで、のノリで二人してカシオレを頼む。
    「おいロナルド!これも頼め」
    半田が指を差したのは『おつまみセロリ』なる物だった。
    「!!絶対頼まねえよ馬鹿!!!」
    酔っ払いたちで賑やかな店内でまだ一滴も酒は入ってない二人はぎゃあぎゃあと騒ぎながら食べたい品の注文番号をオーダー表に書き出していく。表とペンはロナルドが死守していた。
    勝手にあのおぞましい『おつまみなんちゃら』を注文されるわけにはいかなかった。

    「「乾杯」」
    最終的に枝豆とやみつきキャベツ、焼き鳥を頼んだ二人は手に持ったグラスをカンと鳴らした。
    酒が弱い二人はペースを誤らないよう少しずつちびちびとカシオレを飲んでいく。
    「半田ぁ、今年一年ありがとうな。来年もよろしく」
    ロナルドは改まって半田にそう伝える。半田も特に茶化すことなく頷いて応えた。
    「ああ、こちらこそ来年もよろしく頼む。
    それにしても、大きな出来事が多い一年だったな……」
    二人は今年の思い出話に花を咲かせる。
    「一月早々に危険度Aオーバーの吸血鬼が出て……大変だったな、重傷者無しで終われて良かったぜ」
    半田は枝豆に手を伸ばしながら深く頷いた。
    「あれは本当に肝が冷えた。……今はVRCで大人しくしているらしい」
    「ならいいんだけどさ、もう二度と暴れないでほしいな」
    串から焼き鳥を外したロナルドはそう言いながらかしわを一つ口に入れた。そしてカシオレを一口飲む。すでにほんのり顔が赤くなっていた。
    「三月にはカメ谷のお姉さんにお子さんが産まれたな」
    「甥っ子が産まれたって喜んでたな、写真めっっっちゃ可愛かった……」
    ロナルドは赤い顔をさらに染めながらニコニコと笑った。半田もその写真を思い出し頬を緩ませた。
    「なんだかんだ言って、四月から五月にかけてが一番忙しいよな毎年」
    「たしかにそうだ」
    半田はほとんど減っていないカシオレのグラスを眺めながら相槌を打つ。やはり彼も顔が薄ら赤かった。
    「新学期だから小さい子が歩くってんで通学路の下等吸血鬼の駆除を任されたりとか、対吸血鬼用の退治グッズの使い方の講師しに学校いったり」
    「吸対も似た感じだな……だいたい副隊長が駆り出されているから俺はほとんどやらないが、その時期は講師や説明会やらで慌ただしい」
    そっちもそうか、とこくこく頷いたロナルドは枝豆をぷちんと押して食べた。
    「その分六月は割と暇でよかったなぁ、なんかあったかな」
    「…………いや、思い出せん。特に大きな出来事はなかったはずだ。頭のおかしな吸血鬼が出るぐらいで」
    「そりゃいつもの事だな」
    記憶を必死に遡っても、全裸のおっさんと星降らすおっさんとリンボーダンサーがいたぐらいだ。紛れもなくいつも通りだ。
    二人は呆れた顔を見合わせて「この街はこんなんばっかか」と笑った。
    そのあと、無言が続く。半田もロナルドも不自然に赤くなった顔を誤魔化すように飲酒のペースを進めていたが、ロナルドがついに口を開いた。
    「七月だったな」
    「ああ」
    「……あの時、すげえ嬉しかった」
    ロナルドは照れた顔ではにかんで半田の指先に触れた。半田も恥ずかしそうな嬉しそうな、ただ酔ってるだけではなさそうな赤い顔で唇をもぞもぞさせていた。二人は指を絡めてお互いの手で遊びはじめる。
    二人の頭にはヴリンスホテルのバーラウンジから見た夜景と、半田が差し出した白いリングケースがよぎっていた。
    「……九月には佐倉の結婚式があったか」
    「あーそれ九月か。佐倉も嫁さんも、幸せそうだったなぁ」
    結婚式、その言葉に二人は幸せな想像を止められないでいる。
    ロナルドは自分の右手薬指に光る小さな宝石が埋め込まれた指輪を見つめた。
    半田の方をちらりと見ると、彼も同じように愛おしい表情で同じ位置に光るお揃いの指輪を眺めていた。

    「なあ、来年の春にさ、俺たちも」
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