緑谷出久が雄英高校に戻ってから数週間後、曇り空を晴らす勢いで皆が必死で頑張っていた。
それは爆豪勝己も同じで必死に変わろうとしていた。
「デッ、出久、今いいか」
日が沈み、橙に染まる校舎で勝己が呼び止める。
「何?」
出久が振り返った瞬間ガシリと頭を捕まれとっさに目を瞑る。
「髪、長い」
「っあ。本当だ、切ってる時間が勿体なくて」
今度は逡巡し触るぞと宣言してからくるくると毛先を弄ぶ。かと思ったら髪の流れに逆らうようにかき上げたり、光の反射具合を眺めて吟味する。
スッと手を離すと共同スペースへ向かうように目で促す。
椅子に座らされ、あれよあれよとてるてる坊主のようにされる。
スッと散髪ハサミを取り出して切れ味を確認するように2、3度手を開いて閉じた。
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