無題 私立宝永大学附属学園。
近隣では数少ない大学付属の高等学校。有数の進学校ということもあり校風はかなり穏やかで、昼休みの今も生徒たちの和やかな笑い声が校舎から聴こえてくる。
まさに理想的な学園風景とも呼べるものだったが、しかし。その校舎裏では和やかさとはまるで正反対の風景が広がっていた。
――そこにあるのは数十もの黒い、大きな塊。
正確にはボロボロになって気絶している、ここらでは珍しい学ランを着た少年たちだった。学園の制服はブレザータイプなので、恐らく別の学校の生徒なのだろう。
そしてその中心には一人。汚れ一つないブレザーを羽織り、つまらなそうに周りを見下ろしている金髪の少年がいる。
間違いなく、この光景を作り出した張本人である。
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