宵闇翔ける夜鷹のように 宵闇翔けるよだかのように
嫌いだ、きらいだ。
この世界の何もかも。
だから、世界が反転したその時から俺は独りでこの世界に抗うと決めた。
Ωだとわかった途端、掌を返したように俺を棄てた家族や疎んだ友人も。
Ωだというだけで見下してくる連中も。
Ωだからと下卑た視線で近付いてくる奴らも。
皆みんな居なくなってしまえばいいのに。
ああ、でも、俺が本当に一番嫌いなのは………。
5月の昼下がり、水無瀬 湊は何かから逃れるように足早に大学の構内を歩いていた。
この4月から4年生となった湊にとって、卒論などのハードルはあれど生活にあまりは変化はない筈だった。
理解のある友人や先輩に、バースについて研究している尊敬する教授。
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