Light Never Goes Out -1-「ただいま!」
バタン!と大きな音を立てて、隠れ家の入口の戸が開いた。元気の良い声が聴こえる前から、ウェドにはその人物が誰なのかわかっていた。外の船板を踏む音と気配に、ここの戸が開くまであと何秒、なんて考えたりもするものだ。
だがいつもと違って妙にその足取りに落ち着きがなかったので、ウェドは寝そべっていたソファから身体を起こし、読んでいた本を閉じて戸口へ目をやる。
「おかえり、テッド。なんだか忙しない様子だが、なにか……なんだい、それ?」
テッドが顔の前に掲げた『なにか』。それは無邪気に真っ黒な鼻をひくつかせ、小さくワンと鳴いた。
「えっと…い、犬……」
「犬だな」
「帰ってくる途中でバザードの群れに襲われてて…ほっとけなくて」
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