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    BYAKKODDDA

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    3rd覚者ナギと凛ヶ蝶様とこのミカエルさんのうちよそです。※暴力表現などがありますのでご注意下さい。

    うちよそ、その2 北の大陸、リンドネージュはヴィレドー王国。名君ヨセフ王の統治により平和な国であるが、異能の力を持つ王女であり聖女のミカエルを中心とした派閥争いや、ミカエルの力を得ようとする諸国の王族、貴族、賊の存在など悩みの種も存在する。そんなヴィレドー王国の城内の地下牢で事は起こっていた。
     北国の地下牢、暖を取る物など全くない冷え込んだ場所。そこに1人の少女が獄衣一枚で手枷を嵌められ拘束された状態で椅子に座っていた。この少女の名はナギ。過去に間者として様々な任務に従事していたが、現在は覚者として各地を転々としていた。そんな覚者であるナギが何故拘束されているのか…。
     「いい加減に知っている事を話せ!どうやってミカエル様の寝室に侵入した!?」
     ナギに対し怒号を上げ平手打ちをしている男は拷問官。彼の言う通りナギはヴィレドーの王女ミカエルの寝室に侵入した。しかし侵入しただけではなく、就寝中のミカエルの顔に落書きまでしていたのだ。最終的には室内に居たミカエルのポーン、シルヴァンに見つかり数分格闘した後に逃げられそうになった所を騒ぎを聞きつけた兵士達に取り押さえられ、現在に至る。
     ヴィレドーの内情はかなり緊迫した状態にある。特に王女ミカエルは多くの者から狙われる立場、警備も厳重にされている。ナギはそんな彼女の寝室に侵入し、あまつさえ身に触れる事もしていた。もしもナギの持っていた物が筆でなく刃物だったら?目的が悪戯でなく暗殺や誘拐だったら?何より侵入経路がミカエルを狙う者達に知られたら?そのような理由から拷問官はナギから侵入経路を聞こうと必死になっていた。
     「どう侵入したのか言わないか!これは国を揺るがす事態なんだぞ!」
     怒鳴り声と平手打ちの乾いた音が地下牢に響く。拷問というには優しいと思えるが何度も平手打ちをされたナギの頬は大きく腫れ、鼻から出血もしている。しかしナギは悲鳴を上げる事も表情を変える事も無くじっと下を向いて口をつぐんでいた。
     「俺もいつまでも優しくはしないぞ!まだ口を開かないなら口を裂くか!?それとも爪を剥がすか!?このまま一晩中殴ってやろうか!?」
     怒りに任せた平手打ちを受けたナギは椅子から転げ落ちる、そのまま彼女の鳩尾に拷問官のつま先が飛ぶ。流石に効いたのかナギはもんどり打って咳き込んでいる。
     ナギはというと暴行を受けながら拷問官が自分に顔を近づけるのを待っていた。拷問官の首を噛みちぎり殺す為に。そして拷問官がナギの顔を踏みつけた後、髪を掴み上げ自身の顔に近づける。今だ、と口を開けたその瞬間…。
     「何をしているの!?すぐにその子から離れなさい!」
     聞こえたのは女性の怒声。声の主はヴィレドーの王女ミカエルだった。そのまま鬼の形相をしたミカエルは拷問官に近づく。
     「ここまでやれと誰が命令したの!?それもこんな子供に!」
     「し、しかしミカエル様…此奴が城内に侵入した方法が貴方様を狙う者どもに知られれば貴方様の身に危険が…。」
     拷問官はミカエルの身を案じての行為だと言うもミカエルの怒りは収まらない。
     「そんな些細な事の為に子供にここまでする必要は無いでしょう!?この事はお父様にしっかり報告させて貰います!早くこの子を解放して出ていきなさい!」
     「ミカエル様、私はただ…あぁ…。」
     拷問官は尚もミカエルに弁明しようとするも彼女の迫力に萎縮し肩を落としていた。
     「ナギちゃん!こんなになってしまって…ごめんなさい…本当にごめんなさい…。」
     「痛えから離せよ…、ったく余計な事しやがって…。」
     ミカエルは手枷を外されたナギを泣きながら抱きしめ謝罪の言葉を繰り返す。ナギは逃走するチャンスを邪魔されたと不服そうに悪態を付いていた。
     「まぁ面倒事にならずに逃げられそうだし、そこは感謝しといてやる。じゃあオレは着替えたら帰るからな。」
     ナギは一応の感謝の言葉を伝え出て行こうとしたが、ミカエルは焦った表情でナギを止めた。
     「でも傷を治さなきゃ!それにもう夜になるから、ここに泊まって行きなさい!」
     「殴られただけなんだから寝てりゃ治るだろ。それに貴族様の居る空間は居るだけで気分悪くなるんだよ。あとクソボケ(メインポーン)が外で待ってるしな。」
     しかしナギをどうにか引き止めたいミカエルは必死に食い下がる。
     「そ、それじゃあポーンの彼も一緒に城に居れば良いわ!あと使用人以外は誰も貴方に近づかないようにするから!だから、ね?ね?」
     「あぁ〜、うっぜ…。何なんだよコイツ…。じゃあ一晩だけ泊まってやるよ。ちゃんともてなせよ?」
     ナギは渋々と悪態をつきつつ城に泊まる事を了承した。その後は何事も無く傷の治療や食事等をしていたが、問題は就寝時に発生した。
     「はぁー!?個室じゃねぇのかよ!?何でテメーと同じベッドで寝なきゃなんねぇんだよ!?」
     「でも…ほら、大きいベッドだから2人でも広々と使えるでしょ?」
     不満を漏らすナギにミカエルはいささか苦しい言い訳をしていた。しかしまた食い下がられるのも面倒と考えたナギが折れる形となった。
     「うふふ、もっと近寄っても良い?」
     「早く寝ろボケ、近づいたら噛み殺すぞ?」
     ガルルと歯を剥いて見せて威嚇するナギに対しあら怖い、と余裕の表情のミカエル。とはいえナギのミカエルに対する警戒は以前より解けており、2人の距離は多少は近くなったようである。
     ちなみに城に侵入した方法は至ってシンプルでバルコニーの見張り兵を眠りの宝珠で眠らせ音を立てずに忍び込んだだけである。その後、見張り兵はヨセフ王に大目玉を食らう事になるがそれはまた別のお話。
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