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    BYAKKODDDA

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    凛々蝶さん所のミカエルさんとナギのうちよそ。

    うちよそネタ(ショート) ヴィレドーの王女ミカエルは今日も今日とで何人もの王侯貴族との退屈な会食をしていた。話す内容は皆一様でミカエルの"美しさ"、"子供"、"戦力"、"同盟"。どの王族、貴族も政略結婚で自身の力をつけようと画策する者達ばかりだ。何も分かっていない癖に、賢しらに勝手な事ばかり言う彼らの聞くに耐えない話を聞きながらの会食はミカエルにとって苦痛だった。
     会食後、早々に辞したミカエルは自室に篭り悶々とするよりはマシかと思い、自室に戻らず城内の庭園へと出た。外の空気を吸うと幾らかは気が紛れる。静寂な庭園で見事に咲いた花々を見ていると、後ろから何者かが声を掛けた。
    「ミカエル殿!城内に居ないので探していたのですが、ここにいらしたのですか。」
    声を掛けた青年は高貴な装いをしていた。先程まで会食の場にいた貴族の1人だった。
    「食事の間、気分が優れてない様子でしたがご気分はいかがですか?」
    一丁前に気遣いは出来るのに、気分が優れないのは先程の会食で聞きたくもない話を聞いていたせいだとは気づかないようだ。
    「お気遣いありがとうございます。少し外の空気を吸いたくなっただけなので…ご心配なく。」
    気を紛らわしていたのに邪魔をされて不愉快だったが全く相手にしないという訳にもいかない。
    「しかし、素晴らしい庭園だ。ミカエル殿もここに咲き誇る花々にも勝る美しさで…」
    始まった。くだらなく安っぽい、聞き飽きた口説き文句。そんなつまらない話を表面上では愛想よく相槌を打っていたら…。
    「ミカエル様…?」
    再びミカエルを呼ぶ声が聞こえた。今回は男性ではなく少女の声。聞こえた方へ振り向くとメイドの姿をしたナギと思しき少女が居た。髪を後ろに纏めており普段とは違う髪型だが確かに見た目はナギそのもの。しかし彼女は瞳を潤ませて、おどおどした様子でよく似た他人かと思えるほど普段の雰囲気と違っていた。
    「そちらの殿方とはどういったご関係なのですか…?昨日は私をあんなに愛してくれたのに…、私の事は遊びだったのですか…?」
    唐突な話にミカエルも貴族の男も面食らった表情になる。男は困惑した様子でミカエルを見る。
    「えー…と。いや、まぁ…部外者である私が使用人に手を出す事を咎めるつもりはありませんが…この事は2人の問題でしょうから…ひとまず今日のところは失敬いたします…。」
    些か無礼な物言いをした男はそのまま去っていった。ナギ(?)は男が去ったのを確認した後にミカエルに向かってアカンベーをした。
    「あ、やっぱりナギだったのね。最初に見た時はよく似た他人かと思ったわ。」
    「潜入も変装も昔から散々やってんだ。あんな程度の演技は余裕だよ。」
    いつもの表情に戻ったナギは鼻を膨らませる。
    「助けてくれてありがとう。でも殿方にあんまり意地悪な事をしちゃダメよ?」
    「秘密の逢瀬を邪魔したのにありがとうだと?楽しそうにお喋りしちゃってよ、あんな野郎が好みなのかよ?」
    「別に好みって訳じゃないけど…、それよりさっき"愛してくれたのに"ってどういう意味で言ったのかしら?」
    ミカエルの質問にナギの顔が引き攣る。
    「別に意味なんてねーよ、ニヤニヤすんな気色悪い。」
    「なんなら今日ナギを愛してあげるわよー、私は遊びじゃないからこっちにおいで〜。」
    「こっち来んなバカ!王女サマが変な趣味持ってるなんて噂が流れても良いのかよ!?」
    2人は早歩きで庭園を追いかけっこする。なんだかんだでミカエルの気分は晴れたようだった。
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