薔薇色の日 あれが一年前? 信じられない。
僕が花屋に二本だけ残ったバラを買い占めたバレンタイン。ブラッドリーが花のない花屋でバラの代わりに観葉植物を買った日。あれから一年が経ったなんて。ブラッドリーが買ったサンスベリアは、今もまだ青々とした姿で我が家のリビングに鎮座している。そうか、もうそんなに経ったのか。危うく月日の流れに置いていかれるところだった。
「ブラッドリー、言いにくいんだけど……」
今年のバレンタインは僕が残業する番らしい。ブラッドリーを廊下の隅に呼び寄せそう伝えると、彼は明らかにしゅんとした様子で小さく頷いた。
「そっか、仕方ないよね」
「ごめんね、絶対に早く終わらせるよ」
「マーヴ、そんなこと言ったら逆に帰れなくなるよ」
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