先輩が初めて朝寝坊する話『飲みに行かないか?』
キリ良く片付いた仕事。翌日は土曜日。
その相手はゲームのイベントを走っていたわけでもなさそうだったので、誘うには丁度良かった。何となく一杯飲みたい気分になった千景は至にメッセージを送ると、すぐに既読がつき、いいですよ、と簡潔な返事が来た。
その後二人はエントランスで合流し、店を決め歩き出す。至と二人でいると周りの視線が一気に集まるのはもう慣れた。変に知らない誰かと噂をされるより、いっそ堂々と至と並んでいる方が千景にとって利があった。
思い返せばこうして二人だけでゆっくり飲みに行くことは珍しい。
仕事の愚痴に始まり、劇団のこと、ゲームの話、会話が弾む。軽く一杯だけのつもりだったが、至はすっかり酔っているようだった。
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