Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    🥗/swr

    らくがきとSSと進捗/R18含
    ゲーム8割/創作2割くらい
    ⚠️軽度の怪我・出血/子供化/ケモノ
    SNS等のリンクまとめ→https://lit.link/swr2602

    ☆quiet follow
    POIPOI 454

    🥗/swr

    ☆quiet follow

    ぶらぼ 月狩SS
    どうせ一夜しかいない人々の血で月の魔物を汚したくない狩人の話(2025/01/28)

    ##Bloodborne
    ##ゲーム
    ##SS

     神の指先が俺の顎を撫ぜる。俺はそのくすぐったさに思わず目を細めながら、その手の持ち主の様子を眺めた。
     人の腕ほどの指先には、鋭くうねった爪が伸びている。しかし俺に触れているそれは一欠片の害意もこもっておらず、まるで猫でも愛でるかのように優しげだ。
     もしかすると、労ってくれているのかもしれない。この夢を守り、遺志を捧げ続ける俺のことを。そうであるなら嬉しくないはずがない……とはいえ。
    「……少し待ってくれ。今触られると、あなたに汚れが移ってしまう」
     俺はそう言って、長い指先からやんわりと身を引いた。その離れた指先を見れば、既に新鮮な赤色が付着していた。どうやら遅かったようだ。やはり触れられる前に身を引くべきだったか、と心の中だけで舌打ちをする。
     握っていた隕鉄の刃を振り、足元の花々に水やりをした。白花をまだらに染める色が、今日は何故だか酷くカンに障る。赤黒くぬるついた己の装束は重く感じられて、早く着替えたい気持ちでいっぱいだ。
     しかし眼前の神はひとつ声を上げ、俺のほうへと再び手を伸ばしてきた。痩せた手指と茨の尾は躊躇う様子もなく、全身汚く染まった俺を守るように包み込んだ。
    「……ッ、……」
     装束に塗れた返り血が、月の魔物を鮮やかに彩る。
     その色はもちろんこの存在に相応しい。そこに異論はない。だがそれは先ほど「狩った」者の返り血で。俺は面白くなかったのだ、それが神の身体にまとわりつくことが。
     月の魔物の貌が俺の眼前に迫る。虚の穴から聞こえる声はあくまで甘く優しかった。まるで拗ねた子供を宥めてやるかのように。
     その声音に観念し、俺は小さくため息をつく。多分、見透かされているのだろう……俺の振る舞いの理由など。だからこそ、この存在はこうして普段通りに俺に接してくれているのだ。
     俺を包む枯れた手指に己の手を重ねる。まとわりついた鮮紅がぬちゃ、と音を立てた。俺はその音を聞かなかったふりをして、眼前の虚の顎を引き寄せた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    recommended works