労りと妄信 切り裂かれた腕の傷口からぼたぼたと血が滴り落ちる。俺はそれを見て小さくため息をついた。まあ――どうせ〝寝て起きれば〟きっと消えているのだろうが、人間から傷を負わされたのは随分と久しぶりなのもあり、なんだか不思議な懐かしさと不快感を覚えた。
少し驕っていたかもしれない。この夢の守り人であるということに。
滴り落ちた血が花畑の土に染み込んでいく。俺の血がこの庭に染み込むのはいつ以来だったか。ちょっと覚えていない。
俺は眼前に転がっている、狩人の死体に目を向けた。しばらくすれば霧散して消えるだろう。彼らは俺によって首を刎ねられることで夢の加護を切断され、[[rb:血の遺志 > 供物]]を残し、花が咲き誇るための養分を撒き、そして朝へと去っていく。
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