Amore mio 肌寒いような気がしていた。胃の奥が重く感じる。全て気のせいだと思って、スーツに腕を通した。日本に病気は気からという言葉があるが、まさにそうである。つまり認めてしまわなければそれは気のせいなのだ。ドイツ開催の世界会議に出席しないわけにもいかず、寒さに気付かないフリをした。帰ってきてから洗濯しようとスエットをベッドの上に放置する。
実際のところプロイセンは無理をしてでも世界会議に出る必要はない。しかし、会議で毎回胃を痛める可愛い弟を見捨てられるわけもなく、主催国だからと何かと理由を付けて手に入れた参加権をみすみす手放すわけにはいかなかった。現役であったのならば厳しく見放すことも厭わないが、現役ではないのだから気にする必要もない。こういう機会でなければ頻繁に会えない人もいるのだから余計に今更休むという考えもなく、気のせいかもしれない悪寒に普段は飲まない薬を服用した。
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