そのひとはいつだって、暗くて冷たい宇宙でただひとり、真っ直ぐと光を見詰めていた。
それは、宇宙に浮かぶ星のようだった。
「ベリアルさん!」
星が振り返る。
釣り上がった輝きの切れ長の目は、常にその奥で光を燃やしている。星の光のようなのに、その目はもっと、星に住む生き物のように短い感覚で命を燃やしているように感じる。もう何万年も然程変化していない、この光の国の星とは違う。このひとは常に先を求めている。
「まーた来ちまったのか。ガキ。」
だからこそこの国ではちょっと浮いていて、自分が惹かれてしまう相手だった。
「ぼく……俺はもうガキじゃありませんよ!」
「へー。じゃあオマエ、ココがどこだか、分かるか?」
「どこって……、」
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