プロデューサーの仕事は嫌いじゃない。むしろ、大好きなアイドルたちを輝かせるお手伝いのできるこの仕事が好きだ。でも、それはそれとしておやすみは楽しみにしている。それも、好きな人と一緒に過ごせるおやすみとなればなおさら。なのに。
「はぁ……」
下腹部の重いような感覚と、脚の間の不快感。もしかしてと思ってトイレに駆け込めば、案の定アレが来てしまっていた。予定日はもう少し先のはずだったけど、ここ数日仕事を詰めていた影響もあるのかな。
『その日』が来るのは憂鬱だけど、十数年もこれと付き合っていれば、あぁまたか、くらいにしか思わない。けれど、何も今日じゃなくても。
どうしよう、と思う。明日は久しぶりにふたりそろって完全オフの日で、だから、今日の夜からジュンくんがお泊まりに来てくれることになっている。私の家にジュンくんがお泊まりに来たことは今までに何度かあって──その時、『そういうこと』にならなかったことは今まで一度もない。……だから多分、ジュンくんは今回もその気だと思う。私も明確に拒否したことはないし……と言うか恥ずかしいだけで、私だって『そういうこと』をするのは嫌いじゃない。ジュンくんがいっぱい私を求めてくれるのはやっぱりうれしいし、その時ばかりは恥ずかしいという気持ちを忘れて、私もジュンくんのことが好きだといっぱい伝えられるから。
2993