もも肉くるぶしほどに伸びた春先の青草を踏み、足取り軽やかに歩いて行く女性がいる。傍らのヒスイウインディは荷物を背負い、括り付けられた野良ポケモン避けのベルをカランコロンとリズミカルに鳴らしていた。散歩か何かとでも思っているのだろうか。ウインディは女性の少し先を歩いてはニッコニコの笑顔で振り向き、隣に並び立ってはまた歩きを繰り返す。女性はただ歩くのみだが、時折、ウインディをポフポフあしらいついでに撫でていた。
サクサクと青草が踏まれる。
動きやすそうな服装に、ふんわりとした上着を羽織り、護身用だろうか腰に刀を携えた女性は、ふー…と丘の上で立ち止まった。緩やかな坂とてずっと登っていれば疲れるものだ。ほとんどの荷物はウインディの背に乗せているが、それでも舗装されていない野良道は勝手が違う。
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