常勝神話ネタメモ切っ先が翼の隅を弾き、パラリと羽根の欠片が落ちた。反射的に距離をとったハインはポンッとウロボロス姿に戻り、尾先の硬質化した稜鱗で剣を弾く。グッと広がった瞳孔は雲間の弱々しい星明りを拾い、雨雲に陰りつつある月夜の下でも雨粒の一つ一つを視認した。対するラグ指揮官は距離を取りつつランタンの灯火を最大に、腰を落として拳を構える。
「ヨルハッドを保護したのは俺だ。俺には彼を守る責任がある。それにサボさんを守るためにも…呼びつけられたと言ってたか?まぁならこっち都合ばかりで悪いが、あんたを帰すわけにはいかない。あんた、サボさんの情報をどれだけ掴んでいる?」
「サボさんの言葉選びは、ゴアで使用されている上流階級口語〈コンカニ〉のそれに近いですね。調査したところ、同姓同名の戸籍記録がゴアに残されていますが、水難事故に遭われたとして死亡届が提出されております。戸籍主にもお話を伺いましたが、革命軍のサボさんとは面識も心当たりもないとのことです。」
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