開いた窓から涼しい風が吹き込む。 「ハイドリヒ」名前を呼ぶと、閉じたまぶたの奥に隠れていた金色の瞳がゆっくりと姿を現す。 遠ざかった焦点が徐々に戻る中、カール・クラフトはテーブルの上に置かれたシャツを手に取り、ラインハルトに渡した。 ほのかに輝く肌が白い絹に覆われるのを見ていたクラフトは、ふと口を開いた。
「太陽が昇っている、きっと美しいでしょう」
その後も長々と続く言葉を聞く間もなく、ラインハルトはシャツのボタンを留めていた。 彼の友人が際限なく放言を吐くことにはもう慣れていたからだ。 しかし、シャツを着た後も友人が止まらないので、カールがもしかしたら反応を望んでいるのかもしれないと思った。
しかし、反応と言っても困ったものだ。 何度も繰り返される自然景観に、友人が突然どんな感慨を抱いたのかもわからないが、言葉巧みに自信がないと公言するラインハルトとしては、特に何も言えなかった。 とりあえず目で見れば、口答えでも思いつくかもしれないと思い、だるい身振りで彼はベッドから立ち上がった。
窓辺に座り、顔を上げたラインハルトは、突然降り注ぐ光に反射的に目を細めた。 その時、シャッター音が聞こえた。 フィルムカメラを持った友人を振り返り、彼は心細そうに尋ねた。
「またインスピレーションでも得たのか、カール」
ラインハルトの金色の瞳に映る太陽の光を覗き込み、満足げな笑みを浮かべたクラフトはうなずいた。