お題「熱中症」「いいか、絶対ここから動くなよ。すぐに帰って来るからな」
そう言い置いて清磨が走り去ってしまうと、途端に心細くなる。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。ほんの三十分くらい前まではあんなに楽しかったのに。
日陰にいるというのにパラソル越しにも感じる日差しと初めて感じる身体の怠さに耐えながら、ガッシュは膝を抱えて丸くなった。ビーチマットが敷いてあるとはいえ、その下の砂もかなりの温度となっている。灼熱の熱さと具合の悪さ、そして何より清磨が傍にいないという事実が段々と心に侵食し、大きな瞳にじわりと涙が浮かぶ。
朝のニュースでたまたま海遊びをする人々の映像を見たガッシュが突然海に行きたいと言い出したのは、本当に突然の事だった。そしてそれに対する華の返答は、ガッシュと清磨にとって意外なものだった。
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