夏の可視光線 その日はとても晴れていて、梅雨特有のじめじめした空気を吹き飛ばすような空の色をしていた。
課題に手こずっている坂本君を待つ間、赤尾は僕を屋上に誘った。
「せっかく晴れたんだから景色いいとこで吸いてーじゃん」
とは彼女の言い分で、僕はその発想がかわいいなと思ったので素直に同意した。七月に入ったとはいえまだまだ雨の日続きで、体を動かすのが性に合う赤尾はずっと消化不良の顔をしていたから。
昼休みだけ解放される屋上は、本当は今が授業中であるせいか、他に誰もいなかった。あるいは、遮るものがないこの場所では、直射日光でじりじりと肌が焼けてしまうので、既に人気がなくなってしまっているのかもしれなかった。
「坂本まだかよー。クッソあっついじゃんここ」
2733