ゲートをくぐり抜け見慣れた景色が現れる
ピロン
現実に戻ったことにより、ただの四角い板だったスマホが連続で通知を始める
この通知音を聞くとやっと帰ってこれたと実感する
未だピロピロ鳴り続けるスマホを見やれば葵から連絡が入っておりアプリをタップする
スーパー行ったら卵安売りしてたよ!
1人1パック限定だからお兄ちゃんも買ってきて!
その後に卵とレシートの写真がポコポコと連続で送られお願い!と手を合わせるスタンプで締められていた
ゲートから出てきたばかりで未だに緊張していた身体から程よく力が抜ける
「あー…まだあるかな…」
最後に送信された時刻は約3時間前…
「それに…」
チラリと自身の姿を確認する
大きな怪我は無いが、所々のほつれはまだ許されるだろうが、右脇腹あたりがぱっくり破れている
(この程度ならイケるか…?いや、このまま行ったら職質されないか…?)
「んー…」
散々悩んだ末、自宅とは反対側に足を向ける
家計が火の車なのだ、1円でも安く買えるのなら職質なんて屁でもない
職質対策のハンター証明証を首に引っさげ
卵がまだある事を祈り、買えなかった時の保険に他に安売りはないかとスマホの割引アプリを物色する
遅い!!と帰宅早々葵に怒られたのはまた別の話