おまえら全員首プランクな昔見たテレビの内容をふと思い出した
「そういえば、お前って性別オス…なのか?」
「キエ?」
近くを歩いていたベルに話しかければ、首を傾げ二本の触角がひょこひょこと忙しなく動いている
「生物学的にいえば、オスの部類になるかと…なぜ今お聞きになるので?」
「いや、確か働きアリってメスばっかだよなってちょっと気になった」
「キェェ?…確かに彼等はメスですが…」
「あ…メスなんだ」
ガツガツと鉱石部隊が掘り出した鉱石をせっせと運ぶアリ達を眺める、おい、勝手に鉱石食べるな蹴り飛ばすぞ
「じゃぁベルは女王の番だったんだな」
「キッ……!?」
つまみ食いがバレたのか、旬が動き出す前に一般兵たちが集団で食いかけの鉱石を取り上げようと綱引きしている…お前たち意外と仲いいよな
取り上げられた腹いせに一般兵の腕を噛み振り回してワチャワチャと暴れている奴らをどうするかと思案していたら鋭い両手で肩を掴まれる
少し爪が刺さり痛いと文句を言おうと向き直ればブルブルと震えるベルの姿に引いてしまう…ちょっと気持ち悪い
「ど、どうした…?」
「わ、私は女王を守る存在であっただけで…番ではありません!!」
「えっ!?お、おぅ…?」
ギェギェと必死に訴え鳴くベルに気圧され頷く
「もし、番をというのでしたら私はぜひ!君しゅ…」
ベルが言い切る前に赤い閃光が通り過ぎたかと思えば肩を掴んでいたベルが忽然と消えていた
「…え?」
過ぎていった閃光の先を見やれば、ベルの頭を踏み付け翅を鷲掴んでいるイグリットとモダモダと暴れ絶叫しているベルの姿があった
「えぇ…」
どうすんだこれ…
右はアリと一般兵、左は幹部級のベルとイグリットの乱闘…取り敢えず辞めさせなければと、旬は大きく息を吸い込んだ