ひだまりのこどもたち不思議なことに、ユリウスという男に対する評価は人を真っ二つにする。彼をよく知る者と、そうでない者で極端に意見が対立するのだ。
地方諸侯のある人は言う。あの忌み子は妙に愛想がよくて不気味極まりない。頭が回るのも異様に早いから、きっと生まれ落ちたそのときから人の子などではなかったと。
かつて同じ小隊に属していたという男は言う。彼はあれでいてユーモアに富んでおり、気遣いもできるのにそれをひけらかすこともしない上品さを持っている。皮肉が鋭いのだって愛嬌なのだ、と。
不思議と言ったものの、儂はなるほど確かにと頷かざるを得ない。自分自身、彼を見る目がこの数か月でぐるりと一転してしまったからだ。
「おや、ジェノ殿。書庫でお会いするとは珍しい」
4386