ロトの剣その剣は想像よりもずっと細身だった。
祖国の建国者たるご先祖様は竜を素手で倒すほど筋骨隆々だったと聞いていたから、その剣もまた大きく重く並みの者では扱えない、そんな代物だと思っていた。
事実、今までに入手したロトの兜も盾も重すぎてアレンしか装備できない。
(家宝の盾すら装備できないとは……)
サマルトリアの城で自分がロトの盾を装備できないと理解した時は思わず一人嗤ってしまった。その場に父も妹も居なかったことにホッとしている自分が少し意外だった。なんとなく自分には装備できないだろう、そう思っていた、分かっていたはずなのに。
「カイン、君が使わないか?」
不意に声をかけられ意識が現実に引き戻された。
「……へ?」
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