二.お隣さんとぶり大根
荒れた路地を駆け抜ける。どんよりと低く立ちこめる灰色の雲は、今にも崩れ落ちそうな建物の壁と同じ色をしていた。
高く跳躍したトリオン兵が、ひび割れて蔦だらけになった家に着地しようと落ちてくる。どれだけ荒廃していようが、それは誰かの持ち物だ。軌道をずらす為、走りながら銃を構えて引き金を引く。タタタ、と連続で発射された弾はトリオン兵の核部分を撃ち抜いた。
力を失い落下するそれにもう一度弾を当て、向きを変えてやる。どさ、と叩きつけられた先は何もないアスファルト。よし、上手くいった。
遠くでは、二宮さんがアステロイドで応戦する派手な音と光が見えた。そういえば、あの人太刀川さんと喧嘩したって言ってたな。嵐山さん情報だけど。
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