書いてる先輩のユメショの部分 秋になると、3年生の卒業がじわじわと近づいていることを嫌でも実感させられる。夏服の時期が終わって、先輩は初めて会った頃のように黒い学ランを着るようになった。テニスの大会が夏に終わった後は、不二先輩は卒業アルバム制作委員会の活動にいそしむようになり、一度カメラを持って何かの撮影をしているところも見かけたことがある。
なんか、卒業しちゃうんだな、不二先輩って。
寂しいとか悲しいとかではなく、いまいち実感が湧かないから、ぼんやりとそれを受け入れられないままでいた。不二先輩とは去年委員会が一緒だったのがきっかけで知り合ったけれど、その後は廊下ですれ違ったら挨拶をしたり、図書室で偶然会っておすすめの本を紹介しあったり、仲は良いけれどあまり学年を意識しない関係だったから、なおさらだったのかもしれない。
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