【HUG】
『ちょっと!』
少し強引に恋人を抱き寄せ、そのフカフカな胸毛に頬ずりして、俺は叱られる。
ごめん、今この腕を離すことはできそうにない。俺と似たようなタッパでこんな姿になるなんて、堪らないだろ。
蝙蝠のような耳、サラサラと手ざわりの良い毛むくじゃらな身体。取ってつけたような、艶めかしい細身の四肢。
ややすると、その両腕は俺の背中をそっと包み返していた。
【まどろみ】
全身の毛を撫でさすられる。私が死なない加減の優しさで。
「最高」
噛みしめるように、ロナルド君はつぶやいた。消え入るほどの鳴き声だ。
そんな彼を微笑ましく思いながら、早くもこんな空気には飽きてしまった。
しつこいのは嫌い。ニュルリと彼の腕をすり抜け、伸びをひとつ。
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