APPETIZER下校中に物憂げなため息が隣から聞こえ驚いて千早は藤堂の方を見た。夕暮れに照らされた横顔は何処か寂しそうで深刻そうで、なんだか放ってはおけなくて声を掛けた。
「藤堂くん、なにか悩み事でも?」
「ん?あー…」
ため息は無意識だったようでそんなに顔に出ていたかと藤堂は目を伏せる。言おうか、言わまいか数十秒ほどしっかり考えて意を決した雰囲気で口を開いた。
「妹がよ…最近妙にお手伝いしたがるんだけどよ…」
(それの何が問題なんだ…ていうかお手伝いって単語可愛いな)
神妙な顔で話すので千早は突っ込むのを控えて先を促す。『対妹さん向け語彙が可愛いですね』なんてさすがに今言うことではないとわきまえていた。
「うちお手伝い1回毎に100円システムなんだけど…最近やたらとお手伝いするって言っててよ。小遣いは別で渡してんのに小学生がそんな金必要なんかなって。」
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