Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    新月朔

    主にmhykの作品(オー晶♀、まほ晶♀)を上げていく予定

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍰 🍨 🍇 🎈
    POIPOI 15

    新月朔

    ☆quiet follow

    あそこのおあきちゃん、という、第三者視点から見たオー晶♀のお話です。
    中央の国で暮らしているモブの男性視点。
    以前Twitter(X)に投稿したのと同じですが、一部加筆、修正を行いました。

    隙なんか作るわけないだろ俺は中央の国で暮らしているごくごく普通の人間だ。
    中央、と言っても、国で一番栄えてる場所からちょっと離れている町だが。
    だけどそんな町で今日はこの間、賢者の魔法使いに依頼した魔物を無事討伐してくれたお礼のパーティが開かれることになっている。
    本当はパーティを開く予定なんて元々無かったのだが、俺はとある個人的な理由からお礼にパーティをやろう、と町のみんなに提案したのだ。
    個人的な理由。それは…

    「今日は沢山楽しんでいってください。賢者様」
    「はい!ありがとうございます」

    そう俺が声をかけると賢者様はにっこりと微笑んで、ぺこりと頭を下げた。
    ああ…かわいい!!
    任務の時の服装とはまた違った、綺麗なドレスに身を包んだ彼女。
    そう、俺はこの異世界から来たという賢者様…真木晶さんに一目惚れをしてしまったのだ。
    まさか俺のパーティの提案がすんなり通るとは思っていなかったが(もちろん個人的な理由は言っていない)、兎にも角にも今日は大チャンス。
    賢者様がおひとりの時を狙って話をかける。そしてこの後予定されているダンスパーティで一緒に踊る!少しでもお近づきになりたい!!
    ……と、思っていたのだが。

    「なぁおい…賢者様の隣にいる人って…北の魔法使いのオーエンじゃなかったか?」
    「えっあの他の魔法使いの目玉を抉り取ったって噂の…?」
    「ひぇっ」

    俺の近くからヒソヒソと怖い噂話が聞こえてきて思わず声が出てしまった。
    さらさらと指通りのよさそうな綺麗な銀髪。高身長。整った顔立ち。そして、赤と黄金の、色違いの目。
    どこからどう見てもイケメンそのもの。まさかあの人が…。
    依頼の時はいなかったが、折角パーティを開くんだ、良かったら他の魔法使いの皆さんも是非。と招待状を贈ったのだが、まさかそんな怖…強くて誇り高い、孤高の北の魔法使いまでもが来るとは。なんだか意外だ。
    (そして、食事が始まってからずっと賢者様の隣でケーキをバクバク食べてる…)
    先程、変な噂を聞いてしまったから余計に声を掛けづらくなってしまった。賢者様も隣にいる例の魔法使いと話をしているし、なんなら例の彼が鬱陶しそうにしているのにも関わらず、そんな事お構いなしに時々オーエンさんの口元をナフキンで拭いてあげたりしている…拭いたそばからすぐ汚しているが。
    町のやつらも賢者様の隣に北の魔法使いがいるからか、チラチラと様子を見るだけで誰も声を掛けに行かない。
    (しかし、流石賢者様…あの北の魔法使いともあんなに仲良く話をしてらっしゃる…)
    って、何を関心しているんだ!
    いや、関心するところではあるのかもしれないが、このままでは賢者様とオーエンさんが仲良く話をしているのをずっと眺めるだけで終わってしまう。俺は賢者様とおしゃべりがしたい!!この絶好の機会を逃してたまるか!!
    しかし、どうしたものか…。こうなったら、他の賢者の魔法使いの誰かに賢者様とお話をする機会を作ってもらうか…ほら、あそこにいる彼なんか優しそうで話しかけやすそうだ…いやいやいや、それは良くない。人の手を借りるなんてかっこ悪い。
    そうだ、もうすぐダンスパーティだ。オーエンさんはきっとケーキに夢中だろうから、その隙になんとか賢者様を誘って…

    「オーエン。もうすぐダンスパーティだそうですよ。どうしますか、まだケーキ食べますか?」

    来た!!チャンス!!

    「ふうん」

    …え?あれれ?
    オーエンさんは興味なさそうな素振りを見せたと思ったら、最後の一口をぺろりと口の中に含み、クリームで汚れた手をおそらく魔法で綺麗にしてから、流れるように賢者様の手を取った。
    何故、賢者様はあの北の魔法使いと踊っているんだ?あの2人、さっきまで全然そんな雰囲気じゃなかったのに?いや、それにしても絵になるな…綺麗だ…。

    「相変わらず下手くそ」
    「すみません、ダンスってこの世界に来るまであまりやってこなかったもので…」
    「……まぁ、前よりは少し良くなったんじゃない?」

    ありがとうございます、と言う賢者様の表情は、それはそれは嬉しさと優しさに溢れていて…2人の雰囲気もとても良いように見える。俺が、いや、みんな入る隙がない。………あれ、なんだか……

    「あの2人、恋人同士…だったのか……」

    俺のひとりごとが聞こえたのか、俺と目が合ったオーエンさんはにやりと笑い、まるで、「お前になんか渡さないよ」と言われた気がした。

    こうして俺の恋は呆気なく終わりを告げたのであった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works