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    文次郎×夢主(女、ネームレス)の現パロ

    とりあえずなんか書きたかったための短いやつ。全年齢。お題はお題箱ガチャから。

    「文次郎、お待たせ」
     駅の改札を抜けると、見覚えのある後ろ姿が見え声をかけると同時にその人を覗き込むように前に回った。いつもと変わらない、実年齢より少し上に見える顔は相変わらず隈が浮かんでいた。
    「それ止めろ。人違いだったらどうするんだ」
    「そのときは謝る。というか、私が文次郎のこと見間違えるわけないでしょ」
     そう言うと文次郎は私の顔を少しだけ見つめたあと、鼻から小さく溜め息をついて「行くぞ」と一言だけ告げた。相変わらず優しくない。そう思いながら後ろを付けるように行くと少し進んだとこで文次郎は足を止めていて、私が隣に来るとさも当然かのように私の左手を包むかのように右手を差し出した。痛くはないが程よく力が込められて、その強さが嬉しくて思わず笑うと文次郎は不思議そうな顔をしていた。
    「なんだ?」
    「ううん。なんでもない」
     ニヤけてしまう顔がバレないように、寒いねと言いながら首に巻いていたマフラーを鼻まで上げた。
     
    「これどう?」
    「……いいんじゃないか」
    「さっきからそれしか言わないじゃん」
     買い物デートなんて言ってしまえば聞こえはいいが、文次郎と買い物に行くなんてよくあることでデートと言っていいのか微妙なところではあるが、こんな日常なことも幸せでしかない。可愛い雑貨屋の前を通ったときそういえば友人の誕生日が明後日だったことを思い出して、文次郎に付き合ってもらいプレゼントを選んでいたがそういうセンスに疎い文次郎は提案するもの全てに「いいんじゃないか」しか言わなくてあまり参考にならなかった。結局無難にハンドクリームなどの保湿グッズにしてレジに行こうとしたとき、トイレに行ってくると文次郎が言ってきたため一旦そこで別れた。近場にトイレが無かったのか会計が終わっても文次郎は戻ってこず、仕方なく店を出て待っていると声をかけられ顔を上げた。目の前には知らない男2人が立っていた。
    「お姉さん今お1人ですか?」
    「すごい美人だな〜って思って」
    「はぁ……。どうも……」
     面倒くさいな。どうやって終わらせようか。文次郎を待っているせいで簡単にここから去るわけにも行かないし……なんて考えていると、聞き覚えのある声で名前を呼ばれ思わず口角が上がった。
    「待たせた。……知り合いか?」
    「ううん」
     親しげに声をかけてきた文次郎を見て声をかけてきた2人は足早にその場を去ってくれ、思わず胸をなでおろした。
    「遅いよ文次郎」
    「悪い」
     申し訳なさそうに謝りいつも凛々しく上がっている眉が少し下がっていて、なぜかこっちが申し訳なくなる。どこかでお茶にしようと言うと、また自然に手を繋いで来るからドキドキしてしまった。
     
    「……うん! 今回の新作も美味しい」
    「甘そうだな」
     飲んでみる? と問うと文次郎は一口だけ飲んで、甘すぎるなと呟いていた。文次郎はいつもブラックコーヒーで、今日もそれは変わらなかった。甘い飲み物とケーキを頼む私と、ブラックコーヒーだけの文次郎。真逆なのにそれがいつもの定番だった。ダラダラと何気ない会話しかしてないのにそれすらも心地良い。文次郎が先にコーヒーを飲みきってしまって、待たせないように少しテンポを上げてケーキを食べていると、ゆっくりでいいからと言ってきて胸の奥がキュンとした。
    「ん……、悪いちょっと電話」
    「はーい」
     テーブルに置いていたスマホが突如着信画面に変わり、文次郎が席を立つ。チラリと見えた名前は文次郎の職場からだった。
     相変わらず忙しそう、なんて思った矢先文次郎は脱いで椅子に掛けていたジャケットを私の肩にかけると何事も無かったようにスマホを耳に当てながら店を出てしまった。当たり前のようにされたがこんなことされたの初めてだ。突然のことに頭が追いつかない。ジャケットから文次郎の僅かに残った体温がまだあって、それが余計にドキドキしてしまう。
     
     数分して戻ってきた文次郎は何事もなかったかのように椅子に腰を掛けた。
    「……なんかの真似?」
    「はぁ?」
    「いや、こういうこと、初めてしたじゃん」
     肩に掛かっていたジャケットに手を添えると文次郎は目線を外して、あーだの、んーだの言葉を濁していく。2分ほどしてようやく目が合ったもののすぐに反らされてしまった。
    「さっき、声かけられてただろ。あれがまた起こったら嫌だなって思った、だけ」
     女が1人で居て声をかけやすいのに、その女の肩に男物のジャケットが掛かっていたら恋人と来ていることは明確だろう、といつもより言葉に詰まりながら辿々しく話す文次郎はどこか新鮮で、耳が少し赤くなっているような気がした。
    「……んふふ」
    「何笑ってんだ」
    「なんでもない」
     愛されすぎて、幸せすぎて堪らない。残り一口程残ったケーキを文次郎の口に近づけると素直に食べて、美味いなと言うから「ほんとね」と頷いた。
     
     





    デート中に電話がきた文次郎。ナンパ対策に夢主に自分の上着を着せて席を立つ。普通に見送ったけど今何が起こった?と頭がグルグルする夢主。 https://odaibako.net/gacha/2542
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