キスの日ネタ(もんけま)「勝負だ! 文次郎!」
留三郎の声に思わず口角が上がる。早い速度で迫り来る留三郎を袋槍で阻止しながら、隙をついて攻撃をする。久しぶりにする手合わせは楽しくて堪らなかった。空は雲一つなく、他に人の気配もない裏山は集中するには好条件だった。
お互いに熱が入り、いつもより長くやっていた。留三郎の動きに乱れが出始め、額にじんわりと汗が滲んでいるのが見え、俺は構えていた袋槍を下ろし留三郎に声をかけた。
「休戦。そろそろ休憩にしないか」
「ん……」
提案に留三郎も同意したのか、構えていた鉄双節棍を下ろすと口から大きく息を吐いていた。動いているときは気づいてなかったが、いつもより顔が赤いような気がした。額に滲んでいた汗は変わらず出ており、こめかみの辺りから出た汗が顎を伝って地面にポタリと零れ落ちる。
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