グレムノレ前提のヒスムル(仮)26話ふーっと吐いた息が白く色付いて消えて行くのを眺めながら、ヒースクリフはムルソーと共に歩いていた。
ついこの間起こったねじれの事件など無かったかのようにK社の巣は普段通りの日常をヒースクリフに見せていた。
チキンを食べに店に入って行く者、店内でチキンを頬張る者。
その中には家族連れも居たが、他は皆他人同士のようだった。
デパートにはまばらに人が居り、それぞれ見たいフロアで商品を眺めていた。
皆が皆、この巣での当たり前の日常に浸っていた。
「……なんか、改めて見ると……皆楽そうだなぁ……」
基本的に外勤では死と隣り合わせのフィクサーや裏路地の住民と違って、今この場に居る全員はゆったりとしていて気楽そうだった。
「……彼等の日常が完璧に保証されている訳ではない。ねじれは条件さえ合えばどこにでも発生するから……彼等も、突然死ぬ日が来るかもしれない者達だ。」
6573