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    まとぺ

    @motopeeeeeee

    グリムエコーズばっかです
    X(ツイッター)の仕様変更によりらくがき、身内ネタ、色んな概念多め
    特に癖に忠実なものとかは消す可能性大
    真面目絵は支部

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    まとぺ

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    2024年に相互さんたちと考えた概念を振り返りがてらちまちま書いてた
    現世の二人じゃ絶対認識できない世界を、もしもの体で話して実は知らずのうちにその世界線は存在している…って感じの話。
    身内ネタ、雪の女王に関するネタバレ、そんなに重要では無いけどメインストめっちゃ最後のネタバレ入ります。

    P.M.4:43「パラレルワールド?」
    「そう。パラレルワールド。」

    日が傾き始めたP.M.4:26。ゲルダから出た聞き慣れない言葉に、カイは一言一句間違わず聞き返した。特になんでもない日、強いて言うなら今日はカイがゲルダの小屋の方に泊まるらしい。そしていつものなんでもない会話。

    「もしもの世界。ちょっと難しいけど、面白いんだよ。」
    「それって存在するの?」
    「わかんない。本当に、もしかしたらこんな世界があるかも?っていう話みたいだから…」

    パラレルワールド。またの名を並行世界とも言う。
    例えば、そこに雪の女王が居たとしよう。女王の歩んだ結末としてはこうだ。
    「冷酷非道、人間の心を理解出来ない女王はある日を堺に人に興味を持つようになり、(記録なし)を獲得。本来結末を見届けないはずの女王は眼の前の(記録なし)のことを気にかけ(記録なし)ことにした。女王は(記録なし)を放棄したと見なし、第(記録なし)回目のメルヘン時点で雪の女王の存在は確認されなかった。」
    ※〈罪人の記録〉より一部抜粋
    ※以下〈〉の着くものは他の記録からの抜粋

    そこでだ。もし女王がそれを気にかけなかったら。女王がその選択を取らなかった世界線が、並行して別の軸として存在するかもしれない。という話。
    選択一つ一つで未来が変わるこの世界では、この女王が歩んだ人生も選択によって生まれた枝分かれの一つでしかなく、たまたまこの世界線にスポットライトが当たったってだけで、この結末より良い方向へ、悪い方向への世界だってある。それを分岐と言う。

    こんな微妙な違いでなくとも、女王にスポットライトを当てなくても、そう言った可能性の話は現在並行世界の話をしているカイとゲルダにだって存在する。もしかしたら、カイとゲルダだって女王のように罪を犯し、存在できなくなっていたかもしれない〈失恋〉。メルヘンも歳も違うみんなで一緒に学校に通えることだって出来ていたかもしれない〈恋幕〉。本当に兄妹として生まれていたかもしれない〈恋恋〉。人間じゃなくたっていい。天使と堕天使〈諸恋〉だとか、無機物と同じ性質を持った人間が居る世界で、風船になってたり…〈係恋〉
    なんて、どんなに素っ頓狂な世界線だって、〝ある〟と思えばありえるのだ。

    「もしもの世界…か…」
    「うん。だから、ボイドを生まなかった世界線だってあったかもしれないわ。」

    実際にある。カイが自ら永遠の解を見つけ、現世の二人とは違って既に故郷に帰っている。カイはゲルダの望む者へ、無事にカイを連れ戻し、ゲルダの旅路は決して無駄ではなかった。しかし、それが平和で、幸せなおしまいとは限らない。その世界は、まるで残雪みたいにこびりついた誰かの不幸から出来ている。かもしれない。 〈狂愛〉

    「そもそも、ボクの目と心臓に鏡の破片が刺さらなければ、全体的なことは回避出来そうだけど。そういう世界線。」
    「ありえるわ。となるとカイは昔のままね。…じゃあさ、もし私の方に鏡の破片が刺さっちゃったら?」

    ある。二通りくらいある。一つは、ゲルダの方に鏡の破片が刺さっても、物語がそのまま進行して、心がわからないままゲルダは旅をし、優しい心を失ってないはずのカイが氷の城に居たり〈ーー〉。そもそもこの世界線は、根本的なところが違う。序盤の枝分かれから違っていて、現世の二人とは遠い遠い世界線だったから、細かいところまでは観測不可だった。
    もう一つはというとー

    「それは…ボクがゲルダを探すってこと?」

    二人の立場が逆転した世界線だ。物語的に展開はあまり変わらない。ゲルダがカイを探す話から、カイがゲルダを探す話になっただけ。 〈溺愛〉
    逆転世界での二人は現世の二人と比べると見た目も性格も、身長差が存在してるところも違うが、お互いを思い合ってるところは現世となんら変わらない。

    「うん。…もしそうなったら、カイが私を探し出してくれる?」
    「…必ず。ボクらの立場が変わったって、ゲルダを想う気持ちは変わらない。」

    その言葉にゲルダは口元を緩ませ、更に張り合うかのように畳み掛ける。

    「私だって、カイを想う気持ちは変わらない。
    きっと、カイが女の子でも、私が男の子でも!!」

    性別が逆の世界線だってある。その世界でもゲルダがカイを想う気持ちは変わらず、無事再会も果たしている。 〈恋愛〉
    幸いにも、こちらの世界線ではボイドを観測出来ずに居るが、現世の二人と歩んだ生涯がほぼ同じなので、これから発生する可能性だってある。ボイドを発現する世界線、発現しない世界線の分岐だって生まれる。

    「ボクたち二人が、一緒に居ることが難しい場合でも?」
    「それでも、だよ。私がカイを諦めるわけないじゃない。」
    「じゃあ極端に言うよ。例えば、ボクが狼だったとして。」

    ゲルダが羊。狼にとって羊は捕食対象であり、一緒に居てしまえば大切な人を失いかねない。そんな世界線も、ある。二人の結末はめでたしで終わるのか、はたまたそうでは無いのか。わかりやすく分岐が存在してる時点で、どちらもありえる話ではある。〈悲恋〉これは並行世界の話なのだから。

    「動物でも!カイを見つけたら今度は狼と一緒でも共存出来る世界を探すわ。
    カイと一緒に。」

    そんな世界、〈悲恋〉の世界線のカイですら諦めるくらいには見つけるのが難しそうだって言うのに、ゲルダはたいそう楽しそうに笑う。
    …ゲルダのそういうところはどこに行っても変わらない。諦めずに、希望があると信じて強く突き進むその瞳。もう化け物を見る目じゃない。変わりゆく、愛しい人の姿。〈純愛〉

    「…そんなに喜ぶことじゃないでしょ。」

    なんて言うカイも、どこか柔らかく微笑んでいる。
    カイの微笑みは、全ての世界線では感情が異なる。単純な笑み、からかい目的、偽り、呪縛から逃れた晴れた笑顔。だけれども、それら全てには愛しさが存在している。変わらない、愛しい人の魂。〈純愛〉

    ーーー、

    P.M.4:43。こちらが観測出来る都合により、次の会話で最後となる。そう、今見ているこの二人も、どこかで分岐した枝分かれの一つでしかない。たまたまこちらが観測してるだけで、スポットライトを当てるべき世界線は最も、こんな風に並行世界の話などしていない。その世界線のカイは今頃、砂漠の不良と喧嘩しては木こりの息子に仲裁され、なんだかんだ仲良く(?)砂漠に居るし、ゲルダは魔法の靴を持つ友人と一緒に、素敵なレディを夢見る少女を雪山へ案内している。
    そんなことはさておき、今見てる世界線…「並行世界の会話をしているカイとゲルダ」の話に戻るが、そろそろこの会話も休止符の打ちどころ。

    「…一緒に居たいね。どんな世界線でも。」

    例えば、似合うと思われただけでシスター服や軍服を着せられてでも、例えば、生まれながらに持った能力が人を傷つけることしか出来ず、一時的に敵対してても、例えば、ロールシフトが起こってても、全部最終的には一緒に居る。それがめでたしでも絶望的でも、どんな形でも〝ある〟と思えばありえる話。

    「きっと一緒に居るよ。だってボクたちは知っている。」
    「…!だって、私たちは知っている。」

    二人の魂は、永遠の絆で結ばれているのだから。

    ーーー。

    観測出来たのはここまで。なのでこの並行世界の話ももう終わりを迎える。様々な世界線の二人がこれからどうなるのか、どんなおしまいが待っているのかなんて、そもそも全部は観測しきれないほど尽きないし、分岐した一つの枝分かれですらも、こちらが知る由も術もない。ないけど、これからも「もしもの話」を話せたら。こちらが知った気分にはなれるかも知れない。
    知る術はないと言ったがちょっとだけ。P.M.5:17。二人はこれから、少し早めにご飯の準備をするそうだ。

    ハツカネズミがやってきた。これで話はおしまい。
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