不死川実弥の写真炭治郎が仏前に線香を手向けて礼をした後、座を改めて茶菓が出た。初めて会う女は炭治郎に会釈して、話し始めた。
何からお話ししましょうか。夫の実弥からは、何通か竈門さんからの手紙を見せて貰っていましたから、初めて会うのに知らない方であるという気がしません。ええ、竈門さんが夫と同じ、鬼殺隊の英雄であることは知っています。
夫とは子も作りましたが、あの人の人柄を知らないままこうなってしまったような気がします。あまり話す人ではありませんでしたし、片手に足りない年数しか一緒に居ませんでしたから。
生前の夫の付き合いは、少しわからない所があって、不思議に思っておりました。ええ、鎹鴉のことです。一体あれは普通の鴉なのか、ちょっと得体が知れませんでした。夫が亡くなってからは来なくなって、少しほっとしています。
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