ムルヒス『手当て』 勢力を拡大したい目的で侵攻してきた敵ギャングを返り討ちにした後、逃げた一人を遠くまで追いかけていったヒースクリフが額から血を流しながら戻ってきた。
ちょうど戦利品を漁り終えていたムルソーは、興奮が収まらない相手の襟首を掴んでアジトへの帰還を促した。
消毒液を浸した布切れを相手の額にできた傷口に軽くあてると、痛がるような声をあげてヒースクリフが身を身じろいだ。
切れた傷口から垂れる血を吸って布切れの端が赤黒く染まっていく。
大きく背を反らそうとしたところをムルソーがすかさず二の腕を掴んで引き留める。
「動くな、最初のうちに適切な処置をしておかないと後で膿ができる」
「そういうのは唾をつけるなり、水で洗い流すなり適当でいいんだよ」
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