「お取り込み中のところすみません。お兄さん達、ちょっと今お時間よろしいですか?」
「こんばんは〜、急にすみませんね」
もうそろそろ日付も変わろうという深夜。
人気のない公園のベンチに座る男ふたりが自分達の声掛けに後ろを振り返った。
「職務質問、ですか……?」
男のうちひとりはトレーナーにジーンズでくたびれたリュックサックを背負ったどこにでも居そうな青年だった。スクエアタイプの眼鏡が印象的で、髪も染めずピアスも無い。いかにも真面目といった様相だ。
急に警察官に声を掛けられ緊張をしているのか、ベンチに腰かけたまま胸の前に抱き込むようにして置いたリュックサックを握る手が固く拳を握った。
「お〜オマワリさんや。こんな遅くまでご苦労さまです」
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