シルヴァとアポロ 洒落たカフェのテラス席に、ぽつんと女性が座っていた。
見た目は20代半ばくらいだろうか。赤銅色の髪に翡翠色の瞳で、人目を引くはっきりした顔立ちをしている。しかしそれ以上に、身にまとった簡素な鎧と腰から提げた長剣と銃のせいで、少し近寄り難い雰囲気を醸し出していた。軍人か傭兵か、あるいは騎空士なのかもしれない。
彼女は退屈そうな顔をして、机に本を広げている。時折顔を上げては、辺りを伺っている様子だった。他の席はカップルや女性のグループばかりだから、居心地の悪さを感じていたのかもしれない。あるいは……。
「アポロ!」
その声を聞いた途端、彼女は弾かれたように立ち上がる。彼女は声の主に駆け寄ると、勢いよく抱きついた。
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