Bパート(遠掛けとピクニック) ユリウスがこの施設に訪れてから、ふた月が立とうとしていた。時折三姉妹がアルベールの手紙と仕事を持ってやってくるのだが、本日ミイムが持ってきた手紙に、近日中に遊びに行くと書いてあった。
――遠駆けに行こう。
本当はあの店のサンドイッチを持って行きたいのだが、朝王都を出ていく時間には店は閉まっているし、かといって店の開店を待っていたら夕暮れになってしまうから、そちらで昼食の手配を頼む。
約束したとおり葡萄酒を持って行くよ。お前も久しく飲めてないだろう?
会える日が晴れるといいんだが。
恙(つつが)ない日常の報告の合間に、そう差し込まれた文章は優しい。ユリウスが思うに、アルベールの手紙は読んでいると彼の表情のひとつひとつや声が浮かんでくるような書きぶりだ。報告書の文面と筆跡は同じである筈なのに、単語のとめ、はね、それだけでまるで彼がたのし気に目の前で話している情景が浮かんだ。
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