その晩、怒りに任せて三月は百の家に転がり込んだ。
「で、今日は天とどんな喧嘩したの?」
ソファでクッションを抱えて頬をふくらませて座り込む三月に、百は優しく尋ねる。
「……天が、女の人と肌を重ねる仕事があって、」
三月はぽつり、ぽつりと話し始める。
天が成人して早数年。TRIGGERのイメージからもそういったオファーが来ることは珍しいことではなくなった。だから、その仕事があったことは問題ではない。
しかし天はその仕事があったことを三月に伝えていなかった。三月はそれをドラマのオンエアで初めて知ったのだ。
「なんで教えてくれなかったんだって聞いたら、『よくあることだし、今更でしょ』って。」
その言葉をきっかけに2人は喧嘩をして、三月が家出して百の部屋に逃げ込んできた次第である。
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