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    ほむら

    @rietokota

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    ほむら

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    以前あげたおまえは誰にも渡さねぇ(流花)の続編です。

    #流花
    flowering

    続・おまえは誰にも渡さねぇ翔陽との練習試合の後、トイレから帰ってきた流川と花道の空気感が明らかにおかしい。
    しかも花道は花形さんのジャージ着てるしファスナーも上までMAX閉めてる。
    「三井サン、気づいた?」
    「流川と桜木か?なんかおかしいな」
    「流川お願いできる?」
    「オッケー」


    〜流川と三井〜
    こりゃやべーな…
    練習試合後両メンバー入り混じって談笑しているところに戻ってきた流川。
    トイレか…あれ、桜木はどこいった?
    そんなことを思ってふと体育館の出入り口に目をやるとなぜか花形のジャージを着た桜木。
    それを見た流川の目が嫉妬に満ち溢れるのを三井は見逃さなかった。
    桜木は流川には一切目をくれず談笑の輪に加わった。

    これは間違いなく何かあったな

    そんなことを考えていると宮城が「三井サン」と声をかけてきた。
    宮城はPGだからなのか、それとも元々そういう性質なのかはわからないが周りの空気を敏感に察知する能力に長けている。
    どちらかといえば鈍感なオレでさえ気づいた2人の違和感に宮城が気づかないわけがない。

    「おい流川、帰りダッツ奢ってやるから一緒に帰ろうぜ」
    部室で着替えながら流川に声をかける。
    「うん」
    流川は任せましたよ!な顔の宮城と目配せ。
    「じゃぁお疲れー」
    素直に三井の誘いに応じた流川を連れて部室を後にする。
    ダッツに釣られた…のかもしれないが、まだイライラしてる感あるしダッツに釣られただけではないだろう。
    帰り道バスケの話とか今日の練習試合の話なんかをしつつ核心に近づいていく。
    「藤真と花形が」
    2人の名前を出した途端流川の顔つきが変わった。
    あぁ、この2人が元凶ね…

    同じ3年生同士三井、藤真、花形はそこそこ仲が良い。
    というか三井も桜木とまではいかないがなかなかコミュ力が高い方だし中学時代の栄光のおかげで高校バスケ界にも知り合いが多い。
    いつだったか藤真と牧と3人で会うことがありその時桜木の話になった。
    藤真も牧もバスケを始めて間もない桜木の秘めた才能にかなり興味を示していたし、なんとなくそれ以外の感情も感じた…ような気がした。
    くってかかってくるのがなんとも可愛くてしょうがないというようなことを2人で話していたから。
    まぁ…うん、わからなくもない。
    桜木は庇護欲を大いに刺激してくるから。

    「あいつらとなんかあったか?」
    率直に質問してみる。
    「アイツどあほうと距離が近くてムカつく、頭撫でてた。それにどあほうメガネのジャージ着てた」
    なんだよそれ、ただの嫉妬だろ…
    「藤真と花形に嫉妬してんのかよ?」
    「シット?」
    何を言ってるのみたいな顔で三井を見る流川。
    「え、何?まさかおまえ自分の気持ちに気づいてねーのかよ!?」
    こんだけ桜木に執着しているのに自分の気持ちに気づいてないって一体どういうことだよ!?

    コンビニで約束通りハーゲンダッツを買って近くの公園のベンチに座る。
    「あのさ、桜木となんかあった?」
    流川の目が一瞬見開いた。
    「練習試合の後からなんかおかしいぞ、おめーら。桜木なんていつも長袖着ないのに今日は花形のジャージ着てファスナー上まで閉めてたし」
    「…おれが首、噛んだから…」
    「は!?首噛んだってなんだよ、喧嘩か?」
    「ちがう。トイレでどあほう襲った」
    「は…?」
    流川から詳しく話を聞いて頭痛がしてきた。
    「…おまえそれ、やりすぎだろ…」
    「どあほうが悪い。すぐ男引っ掛けてくる」
    「まてまて、おまえら別に付き合ってねーだろ」
    「付き合ってないけど…どあほうが誰かに取られるのはヤダ」
    「なんでそう思うんだよ」
    「なんでって…」
    少し考え込んで黙る流川。
    「わかんねー…でもイヤなもんはイヤだ」
    「それって桜木のこと好きだからじゃねーの?」
    「…すき?べつにすきじゃない」
    「じゃあ例えば藤真と桜木が付き合ったらどう思うんだよ、おまえは?」
    「そんなことぜってーさせねぇ!」
    うーん…話にならない。
    困った
    宮城助けてくれ…
    「じゃあさ」
    少し考えてから
    「桜木がおまえのこと『好きだ』て言ってきたらどうなんだよ」
    「うれしい」
    流川の表情が和らぐ。
    おいおい、こいつこんな顔すんのかよ。
    「そんじゃぁ…」
    桜木からくっつかれたら?ーうれしい
    桜木からキスされたら?ーうれしい
    休日に桜木とプライベートで1on1できたら?ーうれしい
    「流川、それ『恋』ていう感情だ」
    「え…」
    流川の目から星が零れた…ように見えた。
    「その人の全てを欲しくて、その人からされた全てが嬉しくて、その人のことを考えたら…今のおまえみたいな顔になる、それが恋」
    「おれが花道に恋…してる?」
    「そんな大事な桜木におまえヒドい事したんだぞ」
    「うん」
    「ちゃんと桜木に謝れよ」



    〜花道とリョータ〜
    三井サンが流川を連れて帰ってくれたからか少しホッとして見える花道。
    でもなかなか着替えようとしない。
    まぁ…花形さんのジャージ着てる時点で何かしら隠してるんだろうけど。
    花形さんに後で謝罪の連絡入れねーとだな。

    「花道、着替えねーの?」
    みんな帰って部室にはオレと花道だけ。
    「あー…うん、このまま帰ろうかな」
    「でもTシャツ汗で濡れてんだろ。背中冷やすから着替えろ」
    といったもののまだモジモジして着替えようとしない。
    「早く脱げ」
    「わっ!リョーちん!」
    焦る花道を制してファスナーを下ろすと首元にクッキリ残る歯形とキスマーク。
    あんにゃろ…
    ハデに残った流川のマーキングを見て眩暈がしてきた。
    これ花形さんも見たんだよな…血の気が引く。
    「…これ、どうしたよ?」
    答えない花道。
    「流川か?」
    「!」
    ビクッ!と身体が跳ねたのがわかった。
    「オレで良かったら話してみろ、花道」
    優しく声をかけるとヘタっと床に座り込んでしまった花道。

    「…ひでぇな」
    恥ずかしさからか泣きそうになりながら話す花道の頭を撫でながら本心が零れた。
    流川にとって花道が特別なのは一目瞭然。
    加えて流川が自分の気持ちに気づいていないこと、独占欲と嫉妬心が恐ろしく強いことも毎日2人を見ていれば自ずと導き出される答えだった。
    何が引き金でそうなったのか?
    多分藤真さんかな…
    藤真も桜木に特別な感情を持っているだろうことは見ていてわかる。
    今日だって頭撫でてたし。
    自分もたまに桜木の頭を撫でることがあるが、その時は桜木が可愛すぎて感情のコントロールできなくなってるからで。
    それを考えると今日の藤真も同じ気持ちだったのだろう。
    それを目にした流川が自分でもわけがわからないうちに感情を爆発させて事に及んだのも容易に想像がつく。
    にしても…さすがにこれはヒドイ。

    「花道はどうすんだよ?」
    「どう…って…?」
    「正直コレっておまえの同意なしで襲われてるわけで、ある意味犯罪だし」
    「…警察に…てこと?」
    「おまえが望むなら」
    「それはダメだ!」
    桜木が即答する。
    「バスケできなくなる」
    「おまえが?」
    「…ルカワが」
    「じゃぁこんなことやられっぱなしでいいのかよ?」
    「腹立つけど…アイツのバスケが見れなくなるのはヤダ…それに比べたらこんくらいなんてことねえ」
    あれ?
    これってもしかして花道も流川のこと…?
    「まぁ最終的に決めるのは花道だからオレがどうこういうことでもないけどさ、でも何か相談があればいつでもしてこいよ」
    「ありがと、リョーちん」




    途中までリョーちんが送ってくれた。
    ここで大丈夫とと別れて歩いていると家の前に見慣れた影。

    「ル…カワ…」

    その声に気づいた流川が走って近づいてきた。
    あんなことをされたせいか身体が強張って動けない。
    そのまま流川に抱きしめられた。
    心臓が高鳴る。

    「どあほう、あんなことして悪かった…」

    流川から謝罪の言葉。
    謝られるなんて思ってもいなかったから面食らって言葉が出てこない。
    そして続く言葉に心臓が弾けそうになった。

    「おまえが好き」

    あの流川が、
    バスケにしか興味のない流川が自分を好きだという。
    俄には信じられず声にならない声を出す。
    「おまえが他のヤツと仲良くしてるの見たら取られると思って気が気じゃなかった。だからムリやりにでも自分のもんにすれば安心できると思ってあんなことした」
    ほんとに悪かった。
    抱きしめられながら耳元で囁かれて脳が蕩けそうになる。

    だってオレもルカワが好きだって気づいたから。

    確かに流川がやったことは世間一般から見れば犯罪。
    でもムリヤリとはいえキスやあんなことされて、流川から「おまえはオレのもんだ」って言われて気持ちが昂ったのも事実で。
    オレが知っている限りあいつがあんな眼差しを向けたのはバスケとオレにだけ。
    それに優越感を感じたのも確か。
    でもそこには肝心の「言葉」がなかった。
    「おまえが好きだ」という愛の言葉。
    あれじゃただの欲の捌け口みたいに感じてそれに腹を立てていたんだってリョーちんと話してて気づいた。
    でも今流川はちゃんと「おまえが好き」と言葉にして言ってくれたし、謝罪もしてくれた。
    恋愛シロウトの流川のことだ、きっとその気持ちがなんなのか理解できなかったんだろう。


    「おめーもう首噛んだりすんなよ」
    「うん」
    「これけっこう痛かったし、痕なかなか消えなそうだし…」
    「消えなくていい。どあほうはオレのものだから」
    「そーゆう問題じゃねーんだよ」
    「好き、花道…」
    「…おい、そろそろ離れろキツネめ」
    「ヤダ。まだ返事聞いてないし許してくれるまで離れねぇ…」
    こういうところいつも頑固だなと思う。
    そんな流川を見てたらなんだか愛しくなって
    「特別に許してやるよ」
    流川の唇を塞いだ。




    「あーあいつら付き合いだしたな」
    「三井サンもそう思う?」
    「あぁ、明らかに流川が丸くなった。しかも朝チュンか?」
    「…ありえる」
    休み明けの朝練、桜木と流川が一緒に登校した。
    元々距離の近い2人だったが以前より纏う空気感がほんわかしている。
    まー揉めるよりはいいんだけどと半ば呆れ顔の宮城と三井。

    あの後三井に頼んで花形に連絡、謝罪してもらった。
    花形も大体のことは理解していて「まぁそんなことだろうと思ってた」と。
    「でよ、宮城。花形が言ってたんだけどあの場に石井がいたらしいんだよ」
    「はっ!?」
    「石井が先に一番奥の個室に入ってて、後から来た流川と桜木がおっ始めちまったらしくて出れなかったんだと」
    「…マジか」
    「石井のケア頼むな」
    「あー…了解…」

    鬼キャップ宮城の悩みは尽きないのであった。
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