ロスタイムからはじめて それが何の日であるかは知っている。しかし、ルームメイトとして関係を構築し直すその前から、彼が自分からその日のことを口に出したことはなかった。
祝いだ記念だとその手の行事ごとにこと熱心な彼が、自発的に触れようとしない時点で何かあるのは明白だ。であるならば、見え透いた地雷をわざわざ踏みにいくこともないと、アルハイゼンもまた通過を選んだ。
なんでもない日の皮を無理やり被せ、書類に記入する日付を見ては、しばし目に留める程度の感慨でやり過ごしてきたというのに――
「あの」
顔を上げたアルハイゼンが思わず目を見開いたのは、居間へ続く廊下からひょっこり覗いた金髪が、いやに低い位置にあったからだった。寝乱れてぴょこぴょこ跳ねた毛先が、彼の挙動に合わせて揺れる。
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