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    招き犬

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    招き犬

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    欠陥品と言われている天使の🦈と悪魔の🐬の楽しいお遊戯

    天使と悪魔パロの🦈🐬フロイドの心はいつも大きな穴が空いていた。
    他の天使たちにフロイドと言う名を聞くと皆が天才なのに欠陥品な天使と答えるだろう。
    フロイドが産声を上げた時、周囲の天使達は祝福の声では無く、恐怖の悲鳴が響き渡った。
    ターコイズブルーの髪の毛、オリーブ色と金色のオッドアイ。そして産まれたばかりだと言うのに大きな羽根。
    そう、ここまではよかった。
    その羽根が片方しか無い事以外は。
    両親や周囲の大人達から蔑まされながらも最低限の世話がされフロイドはすくすくと成長していった。
    最初は周囲の雰囲気等わからず、無邪気に笑っていたフロイドだが大きくなるにつれ自分が忌み子の扱いをされていると知り、感情を表に出さず心を閉ざしていった。
    そんなフロイドは常日頃見る景色はモノクロで生きている意味がわからなかった。それでも生きているのはおぞましいモノを見る視線を向けながらもフロイドが死なない様に生かしている周りの天使達だ。忌み子だとしてもフロイドは片羽が無いだけで他の天使より器用で才能もあり独特の発想で誰よりも天使として完璧であった。
    そんなフロイドが自害しない様に幼い頃から首輪を着けられており、それは死のうとすると死なない程度に首が絞まり気絶させるという物騒な物だった。
    生きる屍の様に生かされているフロイド。他の同い年の天使達の様に羽根では飛べないが、魔力を使って同じように浮遊は出来る。それすらも恐怖と畏敬の対象として見られていた。
    普段暇なフロイドは森の中をふよふよと飛んでいた。目的地はお気に入りの湖、そこでだけフロイドは唯一息が出来る。
    目的地に辿り着いた時普段は人は1人も居ないのに先客がいた。
    (あー…めんどくせ、帰るか)
    そっとまた魔力を込めて浮かぼうとした時、先客の声がフロイドの耳に届いた。
    「あの…こんにちは、お邪魔だったでしょうか?」
    その声にフロイドはぴたりと立ち止まった。何故かドクドクと心臓が跳ね上がり、気分が向上する。
    「オレの縄張りじゃないし別に…ッ」
    その人物を見た瞬間フロイドは目を見開いた。そして世界に色が着いていく。その人物も目を見開いていた。自分と鏡合わせの様な容姿に驚いた表情、唯一違うのは黒い尻尾が生えており片羽こちらも無く、だが生えているのは黒く悪魔の羽根という点だけ。
    「ねぇ、名前…何ていうの?オレはねぇ、”フロイド”っていうの!」
    フロイドは無自覚に相手の名を聞いていた。天使と悪魔の真名は番とならない限り教えてはならないと伝えられていた。真名を知れば相手を縛れ、操る事すら出来てしまうから。
    「おやおや…ふふっ、フロイドですか。僕は”ジェイド”と申します」
    その悪魔はフロイドの言葉に驚いた様子を見せながらもすぐにクスクスと笑い此方も名前を伝える。
    お互い真名なのかは言ってはいなかったが本当の名前だと確証があった。
    2人は近寄りそっと互いを抱き締める。すると2人のぽっかりと空いていた心の穴が埋まっていく。
    嗚呼、彼は自分の片割れであり、本当は2人で1人なのだと、それなのに別々に別れてこの世に落ちてきたのだと悟った。
    こつりと額を合わせ瞳を見つめる。オリーブ色と金色の瞳が妖しく光り、ギザ歯を見せながら2人は笑う。
    「やっと見つけました。フロイド、僕の愛しい片割れ」
    「あはっ、オレもやっと見つけた〜ずっと楽しく無くてそろそろこの世からバイバイしそうになってたんだよ?」
    「おやおや、その前に見つけられて良かったです。まあ、僕も同じですが」
    2人は身体を密着させ隙間を埋める。ジェイドの目はとろりと惚けており愛おしい片割れに甘える。
    「予定調和は好きではありませんがフロイド…貴方と離れると息が出来なくて苦しくなります。もう離したくありません」
    「熱烈な言葉だね♡それはオレもだよジェイド♡」
    フロイドはそんなジェイドの頬を撫で鼻先に口付けるとくるくると踊るように回りだす。
    「いっそ2人で地上に降りちゃう?」
    「僕は構いませんがフロイド、貴方は他の天使達に期待されているのでは?」
    「あんな奴ら知らねー。ってかオレの事欠陥品とかコソコソ言いながら自分達の理想図を押し付ける雑魚共に構うわけないじゃん?」
    ジェイドはフロイドの言葉に目を鋭くする。
    「フロイドが”欠陥品”…?そんな訳ないじゃないですか。誰よりも天使で、誰よりも天使では無い貴方が?その方達は頭が良くないようですね」
    殺気立つジェイドを宥める様にフロイドはジェイドに深い口付けをする。
    「んっ…フロッ……」
    「はっ、ジェイド…あんな雑魚共の事を考えるよりオレの事を考えてよ」
    くちゅりと音を立てながら唇を離したフロイドはぷくりと頬を膨らませてジェイドの頬を自分の顔の位置に固定する。突然の口付けで頬を赤らめていたジェイドはフロイドの言葉に微笑んだ。
    「そうですねフロイド。あんな雑魚より貴方の方がよっぽど大事ですから」
    「そうそう、理解出来て偉いねジェイド♡」
    フロイドは上機嫌でジェイドの頭を撫でながら今後の事を考える。
    「ん〜地上に降りるのは確定としてこの首輪はもう要らねえし…あ!そうだ」
    外れないようにしっかりと鍵を掛けられてた首輪はフロイドの手によってあっさりと外された。今まで外さなかったのは外したら外したで周囲が更に煩わしくなる事がわかっていたから。
    「ねぇジェイド」
    「どうしました?フロイド」
    「地上に降りる前に今まで散々言ってくれた天使共を絞めようと思うんだけど。あ、勿論ジェイドの方も悪魔達もね♡オレ的にはジェイドの事を悪く言ってた悪魔を絞め殺してぇ…」
    フロイドの言葉に目をぱちぱちとさせたジェイドだったがすぐにフロイドの言葉を理解すると口元に手をやりニヤリと笑う。
    「そうですね、どうせ最後の天界ですし楽しくいきましょう。僕は天使達を徹底的にお仕置きしたいですが」
    「あはっ♡ジェイドその顔ぜってぇ仕置きで終わらない顔じゃん♡ジェイドはどっちから行きたいとかある?」
    フロイドはこてりと首を傾げるとジェイドは思案しつつ口を開いた。
    「メインディッシュは最後に取っておきたいので先に僕の悪魔達の方からいきましょう」
    「りょうかーい♡」
    お互いの手を取り普段使う魔力ではなく飾り物のように着いてある片羽を一斉に動かすと2人の身体はふわりと浮き上がった。
    「やっぱり!浮いた浮いた!」
    「ふふっ、そうですねフロイド。では僕が魔界を案内致します」
    フロイドははしゃぎながらジェイドの手を握る形を恋人繋ぎに変え、ジェイドはそんなフロイドを微笑ましく思いながらフロイドが来た方向と反対の方を指を向けた。
    「たーくさん楽しもうね、ジェイド」
    「ええ、此方が終わりましたらフロイドの居た天界の案内をお願いしますね」
    2人は笑い合いながらお互いの住んでいた場所を玩具の積木を崩すかの様に壊していく。
    後にこの事はあってはならなかった禁忌の出来事として天界と魔界の歴史に深く刻まれる事となった。
    満足のいくまで対象を絞めた2人は返り血で真っ赤に塗れながらまた出会った時の湖に戻ってきた。
    「楽しかったですね」
    「うん!あの雑魚共のマヌケな顔滑稽だった〜命乞いすれば助かるなんて嘘に決まってるのにね」
    服を脱ぎ捨て湖に2人は血塗れた身体をお互いの手で洗い流す。自分以外に相手が汚されるのが返り血でも我慢が出来なかったからだ。
    身体の水気を取ると奪ってきた新しい服を着てフロイドは口を開く。
    「んーどうやって地上に降りる?大人の姿?それとも子供?」
    「そうですね…子供が出来なくて嘆いている夫婦の子として生きてみるのはどうですか?きっと喜びますよ」
    「ジェイドってば慈悲深い〜!オレもそれで良いよぉ」
    「では僕達の仮の家族となる家を探しに行きましょう」
    「うん!」
    行き先を決めた2人は地上に降り立ち目星を付けた夫婦や周囲の人間の記憶を操作し、難産でやっとの事産まれた双子として2人を認識させ、戸籍も作らせた。
    「にんげんのじんせいとやらをたいけんする...ふふっ、たのしみですねフロイド」
    「うん。おもしろそうなのたくさんみえたし、いっぱいたのしもうねぇ♡」
    暖炉の前にあるソファーに座る2人の身体は5歳位の人間のサイズに縮んでおり、まだ流暢には口が回らず話せてはいない。フロイドとジェイドはお互いの手を握り、ふくふくと柔らかい頬を擦り寄せる。
    そんな2人を祝福するかの様に黒と白の羽根が周囲を舞い、フロイドとジェイドの影には無くなったはずの羽根が映っていた。
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