小夜啼鳥とお誘いの夜『
ずいぶん遅い帰りになってしまったと部屋への道を急ぐ。二人は早々に飛ばせたが、残った二人にかなり粘られた。結果四吊りを取ったものの、ランクマ終わりにしては重たい試合だった。
(まだやることがあるのに…)
義務化されている日記を書いたり、今日の戦績をまとめたり、写真機の手入れだってしなくてはいけない。ジョゼフは早く仕留められなかった自分を戒めながら、暗い廊下を早足で歩いた。
暫く歩いて、やっと自分の部屋に辿り着く。道中で見た時計は十二時半を示していた。部屋の扉を開け、電気をつけようとして室内が明るいことに気付く。
「……イライ?」
部屋の真ん中の一人がけのソファに浅く座り、にこっとこちらに微笑みかけて来たのは恋人のイライ。普段から部屋を訪れることはあれど、部屋主がいないのに入り込んでいたの初めてだ。
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