鳥籠「シェイア、どうか心安らかに」
そう言って大人たちは小さいこどもを籠の中に入れ鍵を掛けたのち離れる。
ギィと重い音を立てて動く乗り物の中を日の光が差し込む。
籠の中にある柔らかなクッションやタオルに体を横たえて「はふぅ」とか細いため息をついた。
ピリピリとした緊張感を大人たちはずっと持っていて己に近づく子は一部を除いて居ない。
手伝いをしたくても教えてくれず「シェイアはなさらなくて良いのです」そう言って自分たちの子を遠ざけもする。
疎外感に寂しいと感じ涙をこぼしてしまう。
「ユリア、だいじょうぶか?」
いつの間に居たのか舌足らずだがユリアを気遣う言葉に目を擦る
「めこするなよ」
「ゆれーにいさまぁ」
「ほら、おれがいるから」
そう言ってユレイとは檻の中に両腕を入れユリアに触れると檻越しに抱きつくようにユレイにユリアも手を伸ばす。
「ここにいたくないです…みんなこわくて…さみしい…」
「だよな…おれやフィーいれてくれればいいのに、だめっておとなたちいうのずるいよな。ばーちゃんはいいっていってくれるのに。」
ユリアがぽろぽろと涙をこぼすとそう大人たちへの愚痴をこぼしながらユレイは言う。
その言葉に目を瞬かせて心配という表情になり
「ゆれーにいさま、おこられない…?」
「おう、だいじょーぶ。だからユリアはきにしないで、だいじょーぶ。」
とユリアのそのまろい頬を撫でる。
その感覚にユリアはうとうととし眠りに誘われる。
そんなユリアをユレイは撫で続けた。
「ユリアがユリアでいられるばしょにはやくいけますように。」
たとえ自分たちから離れてもユリアがユリアで居られて笑ってくれる方が良いから。
<鳥籠・了>