寝ている狄秋の足先に触れた。白い指先はひんやりとしていて、少しだけ、どきりとした。
いつかはそんな日を迎えるのかもしれない、と心のどこかでは思っていた。彼は自分よりいくつかは年上だからというわけではなく、たった一つの目的のためだけに身を長らえているからだ。
そのたった一つが潰えた時、彼をこの世に引き留めるものはなくなってしまったと、そう思った。
行方知れずになった数ヶ月、彼の部下がどれほど泣きついてきても腰を上げなかったのは、その死を知りたくなかったからだ。
いまは後悔している。もっと早くに探していたら、もっと早くに助け出せていたのに。
いつも間に合わない。
いつも、考えすぎて手遅れになる。
お前は見た目や名前のわりにずいぶんと小心だ、と笑ったのは狄秋だ。まだ、彼本来の快活さを失っていなかったころ。
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