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    honeybee_3

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    honeybee_3

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    映画後の🐅哥と🍂哥

     寝ている狄秋の足先に触れた。白い指先はひんやりとしていて、少しだけ、どきりとした。
     いつかはそんな日を迎えるのかもしれない、と心のどこかでは思っていた。彼は自分よりいくつかは年上だからというわけではなく、たった一つの目的のためだけに身を長らえているからだ。
     そのたった一つが潰えた時、彼をこの世に引き留めるものはなくなってしまったと、そう思った。
     行方知れずになった数ヶ月、彼の部下がどれほど泣きついてきても腰を上げなかったのは、その死を知りたくなかったからだ。
     いまは後悔している。もっと早くに探していたら、もっと早くに助け出せていたのに。
     いつも間に合わない。
     いつも、考えすぎて手遅れになる。
     お前は見た目や名前のわりにずいぶんと小心だ、と笑ったのは狄秋だ。まだ、彼本来の快活さを失っていなかったころ。
    「あんたはもっと考えてから動くべきだ」
     言い返すと、愉快そうに笑った。
    「祖哥、聞いたか? 俺に意見したいらしい」
     揶揄い混じりの明るい声。くるくると変わる表情。どれだけ振り回されても、傍にいたかった。
     怒られても疎まれても、恩讐に囚われていた彼を、止めるべきだった。行動に添うのではなく、心情に寄り添い、一緒にこの先を生きて行こうと、そう言えばよかった。
    「阿秋……」
     掠れた声で、名を呟けば、微かな声が返ってきた。
    「秋哥、じゃないのか」
    「…………起きていたのか」
    「そりゃ、そんなふうに触られたら、擽ったい」
     声は小さく力もないが、軽口をきく気力はあるようだ。狄秋とは、そういう男だ。
    「なんだ、泣いているのか?」
    「違う」
    「じゃあ、怒っているのか」
    「そうだ」
    「ふふ……お前はずっと怒っていろ」 
     お前は昔から、ずっと俺に怒っていたろう。
    「そうだったか……?」
    「怒らないお前なんて……」
     そう言いかけて、狄秋はまた目を閉じた。
     何ヶ月も日に当たらなかった肌は青白く、元々白かった髪もいっそう白く、療養着やシーツの白さもあって、そのまま溶けてしまいそうにすら見える。
     そんな中にあって、僅かに血色を取り戻した唇に、少し安堵して、再び眠りに落ちた狄秋の、その唇に、Tigerはそうっと触れた。
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