それは秘密の心の内 冬の寒さがピークとなる2月上旬、三井の大学の推薦入学の合格の通知が来た。
一刻も早く宮城に報告したくてたまらなかった三井は、暗闇に包まれた夕方の部活が終わる時間帯に、部室へと駆け足で向かっていた。部室の前に着くと扉の隙間から蛍光灯の光が漏れている。宮城がいると確信した三井はそのままバタンと扉を勢いよく開けた。
「宮城!! オレ大学合格したぜ!!」
部室のベンチに座って日誌を書いていた宮城は、突然現れた三井に目を丸くして驚いた。
「……え、あ〜……、そーなんスッね……おめでとう、ゴザイマス……」
まるでこの世の終わりを前にしたような絶望的な顔をして、呪いのような苦渋に満ちた声で宮城は祝いの言葉を口にした。人気のない部室は外気温とほぼ変わらない寒さで、呼吸をする度に宮城の口から出て来る白い息があたかもため息の様に見えて三井はショックを受ける。
2788