鍾は時折タルに好きであることを伝えているが、タルは「ありがとう、」と返すか「俺も先生のこと好きだよ。もちろん旅人も!」とあたかも友人としての「好き」として扱われる。夜の食事会やお呼ばれは楽しそうに応じるのに、「それ以上」はない。
そんなある日、北国銀行のお得意先との会食で媚薬を盛られたタルと遭遇。頬を染めて荒い息の中フラフラな状態で薄暗い路地を歩くタルを見つけた鍾は慌てて駆け寄る。「大丈夫か?」と手を伸ばすがたるは「触らないで」と払い除けてから、申し訳なさそうに眉を下げて謝る。
「ごめん、触らないで」
「そんなことを言っても今にも倒れそうではないか。俺の部屋の方が近い、肩を貸そう」
「変な薬盛られただけだから、気にしないで」
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