パーティ結成は母の慈愛により 放課後を迎えて間もない学園はまだ日が高く、空は綺麗な青色、風も心地よく吹いていました。
多くの生徒たちがダンジョンへ赴いたり、寮に帰ろうとしたり、転移魔法を使ってどこかに遊びに行こうとしたりと様々な思惑で学園内を行き交う、いつも通りのよくある光景。
それを、運動場の植え込みに生えている木の上から眺めている、黒髪フェルパーの女の子がおりまして。
「……」
黒い尻尾をゆらゆらと揺らし、心底興味なさそうな目で生徒たちを眺めていましたが、やがて飽きてしまったのか太い枝の上に寝転がると、風に揺れる新緑の葉を見る作業に戻るのでした。
「…………退屈」
「トゥカちゃん、トゥカちゃーん」
地上から名前のような言葉を呼ぶ声がして、尻尾がピンと立ちます。
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