「年、あけたな」
「だな。一時間前に」
年明けの瞬間に口では言えないようなことをしていたせいで、これが新年初めてのまともな会話だった。
悲鳴に近いような声をあげさせられたせいでひりつく喉にぬるくなった水を流し込んでいると、俺にも、と手が伸びてくる。そのままボトルを渡してやれば、一気に全部飲み干された。
空になって返ってきたボトルを見て沢北、と抗議の声を上げると、まだ汗の引ききらない体を抱きしめられる。
「お前な」
「まだあるっしょ。あっちに」
「じゃあ取り行けよ」
「んーそれより」
絡められた足にあたる感触から逃げるように宮城は腰を引く。硬く芯を持ったそれは、まるでまだ一度も出していないかのようだ。沢北の底なしの体力もこんな時ばかりは余計だと思った。
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